「存在は全てが光」への道16

 ニュートリノの勉強の手始めに解説本である多田将先生の「ニュートリノ」を読んでみた。CP対称性の破れについての話題がある。クォークについては小林・益川理論で3世代のクォークの混合についてCKM行列というのがあるが、これは中性K中間子、中性B中間子についてCP対称性の破れが観測された話題である。一方、中性レプトンであるニュートリノについても3世代の混合についてPMNS行列というのがあるらしい。宇宙においてニュートリノは光子についで多いだけにニュートリノでCP対称性の破れが起こっているならば今の宇宙において反粒子が殆ど存在しない理由が説明出来る可能性がある。中性子のβ崩壊においてエネルギー保存則の帳尻合わせの存在が実は今の宇宙が創成される鍵ということになるかもしれない。

 最初は Higgs 場と多数の高エネルギーの光子が存在した。自発的対称性の破れにより Higgs 場は凝縮し、凝縮 Higgs 場の下で光子同士の衝突が起こって荷電レプトンハドロンが対生成した。もちろん、ハドロンの内部にはグルーオンが含まれている。しかし、対生成だけではいずれ対消滅によって全てが光子に戻ってしまう。これを阻止する役目がCP対称性の破れの存在である。ただし、中性K中間子や中性B中間子の存在だけでは量が少な過ぎた。しかし、もしニュートリノにおいてもCP対称性の破れが起こっているとなると光子の次に多い存在であるだけに説明出来てしまう可能性がある。すると時間の矢の存在もニュートリノによって説明出来てしまう可能性がある。

 ところで、荷電レプトンは対生成出来るが、何故かニュートリノの対生成という話題は聞いたことが無い。そこで、ニュートリノは対生成できないのではと考えていたが、2重β崩壊というのがあってそこではニュートリノ対消滅が想定されている。ニュートリノは対生成する確率が極めて小さいだけかもしれないし、対生成したニュートリノを観測すること自体極めて難しい。ただそれだけかもしれない気もする。とりあえず、ニュートリノも反ニュートリノもそれぞれ単独で荷電レプトンとのセットでエネルギー保存則の帳尻合わせとして登場する。そして、ニュートリノは弱い力にしか相互作用しない。荷電レプトンは弱い力だけでなく電磁力とも相互作用する。クォークは弱い力、電磁力、及び強い力と相互作用する。その点でもニュートリノは単なる帳尻合わせではなく特別な存在のように思える。なお、ウィークボゾンもスピン1でありながら荷電、中性が存在し質量も有している不思議な存在である。弱い力に関係するスピン0の Higgs 粒子とスピン1のウィークボゾン、そしてスピン \frac{1}{2}ニュートリノをもっと勉強する必要がありそうだ。。。