「存在は全てが光」への道3

 さらに前回の『「存在は全てが光」への道2』の続きで、光子による電子対生成を起こすための、なんらかの外部ポテンシャルとして、原子核が形成するクーロン場に代わるものがないかちょっと調べてみた。その結果、高強度レーザ光が生み出すクーロン場を利用する方法が研究されていることがわかった。ハイゼンベルグやシュウィンガーが理論予測した現象のようで、真空破壊とか真空崩壊とか呼ばれているようだ。高強度レーザ光が作る電界で良いのなら、光子のみで電子対生成を起こすことが可能ということになる。なお、シュウィンガー電場( \frac{m^2 c^3}{e \hbar}=1.3 \times 10^{16} V/cm )に達する必要があるようで、レーザ光パワー密度でいうと 10^{29} W/cm^2 ととんでもない値となって、そのレベルの高強度レーザ光はまだ実現していないようだ。ただし、少なくとも理論的には光子だけによる電子対生成が可能ということを意味している。具体的には、シュウィンガー電場に達する極めて光子数 n が大きいが角振動数 \omega_1 は適度に準静電場とみなせる程度に低い状態のもとで、電子対生成に必要な角振動数 \omega_2 の大きい光子を供給することで、光子だけで電子対生成を起こすことが出来ることになる。これは一種の多光子過程であり、非線形効果である。「存在は全てが光」から創成される可能性の第一歩が少なくとも理論的には有りそうである。とりあえず、このブログの表題を変える必要はまだ無さそうでホッとした。