量子光学のウィグナー関数について

 枝松圭一先生の「単一光子と量子もつれ光子」という比較的最近の本を中心に、量子光学の勉強を再開した。なお、自仮説はひとまず置いておく。

 「3.4 波動関数と確率密度」という節にウィグナー関数の話が出てきた。これは「連続量量子光学」と呼ばれる流儀において光の量子状態を図示化する有力な方法のようである。光の量子状態 |\phi> にある系が位相空間上の点 (q,p) に見出す結合確率密度 \omega(q,p) \; (\omega(q,p) \ge 0) は古典的である一方、ウィグナー関数 W(q,p) の場合は負の値をとることがあり、非古典的な量子状態を表現することができるらしい。ただし、負の値をとるということは確率密度と考えることができない。その意味で、ウィグナー関数 W(q,p) は、擬結合確率密度とも呼ばれるらしい。なお、 別の文献によれば、ウィグナー関数を最小波束(ガウス分布)で平均化したものは伏見関数と呼ばれ、非負となって古典的な確率密度分布を表すらしい。光波束を扱うのであれば、伏見関数が必要なのかもしれないが、光の非古典的な量子状態を表現する上では、ウィグナー関数の方が適しているということか。座標 q と運動量 p が非可換で不確定性関係にあるという点が最小波束と関連しているので、ウィグナー関数による光の量子状態の表示は、光子レベルの光波束を近似的に表現できると考えても良いような気がしてきた。ただ、特殊相対論は取り入れられていないので、その点は頭の片隅に置いておくべきだろう。ちょっとうっかり自仮説が頭をよぎってしまったが元に戻ろう。

 なお、しばらくご無沙汰している python Jupyter \; notebook であるが、量子光学を勉強するために qutip をインストールして長らくほったらかしになっている。今回、久しぶりに、光の量子状態を図示化するツールとして qutip を用いて、ウィグナー関数による表示を試みてみた。 qutip lecture \; note を参考にして、久しぶりに qutip を使った。ただ、 qutip 自体の理解はまだまだで、ほとんどモノマネ状態である。

まず、光の真空状態 |0> のウィグナー関数による表示を下図に示す。

真空状態のウィグナー関数図

次に、光の真空状態 |0> のウィグナー関数と周辺分布関数を下図に示す。

真空状態のウィグナー関数図2

また、光の単一光子状態 |1> のウィグナー関数による表示を下図に示す。

単一光子状態のウィグナー関数図

次に、光の単一光子状態 |1> のウィグナー関数と周辺分布関数を下図に示す。

単一光子状態のウィグナー関数図2

やっとのことで、 python を利用した投稿が出来た。