量子の素励起情報の波動の伝搬速度について

 今回は、自仮説の量子場光学で使用している量子の素励起情報の波動の伝搬速度について、光子と電子の場合を例に説明する。なお、量子場光学が場の量子論を考慮しているといいながら、量子の素励起情報という概念は量子場光学独自で場の量子論には登場せず、必ずしも場の量子論の近似とはなっていない。そもそも場の量子論ではハミルトニアンに定数項を加えても運動方程式を変えないので、エネルギーの絶対値自体は物理的意味を持たない。そのために空間積分すると発散してしまうゼロ点エネルギーはその分無視して再構築されてしまう。重力を考える一般相対論を取り入れた未知の統一論の構築を待たねばいけないらしい。一方で、量子光学ではゼロ点エネルギーが当然と登場する。そして、カシミール力のようにその存在を肯定する実験結果がある。量子光学の全てが場の量子論の近似とは言えないところがある。もしかしたら、未知の統一論の近似にはなっているのかもしれないが。。。どれも単なる近似とは言えない部分があることを言いたかっただけだ。。。(?ちょっと混乱してる?)

 話が脱線してしまったので、量子の素励起情報の波動の話に戻って次の考え方を提案する。

 『原則として、量子の素励起情報の波動が量子場を伝搬する速度は光速であるのが基本である。』

 まずは光子の素励起情報の波動の場合について説明する。光子の素励起情報の波動が例えばガラス板のような屈折率が n の媒質内を伝搬する場合、みかけの光子の素励起情報の波動の伝搬速度が光速 c \frac{1}{n} と遅くなる。これは2023-10-04の投稿である「量子場光学から見た受光素子とガラス板について」で下図を用いて説明したとおりのメカニズムによる。これは原子に束縛された電子の束縛電子場との相互作用の結果として、いわゆる多数原子による光の多数回の弾性散乱により、みかけの光子の素励起情報の波動の伝搬速度を低下させるようにみせかけているのであり、あくまで、逐次の光子の素励起情報の波動の伝搬速度は光速のままである。

ガラス板の位相遅延板としての動作説明図

 次に、電子の素励起情報の波動の場合について説明する。電子の場合は自由電子場を伝搬するといえども、慣性質量 m を伴うので電子の素励起情報の波動は光速で伝搬することは無い。しかし、電子の素励起情報の波動も本来は光速で伝搬するのが原則であるところ、正確に言えば純粋な自由電子場というものは存在せず、通常の自由電子場はヒッグス場との相互作用を随時伴うヒッグス場と純粋な自由電子場との複合場である。電子についてはこのような複合場を簡易的に自由電子場と呼んでいる。下図に電子の場図表現のPT図を示す。

電子のPT図

電子のPT図に示すように、T軸方向の振動が電子の慣性質量 m を意味している。さらに、これは Zitterbewegung と関係し、左巻きスピンと右巻きスピンとの繰り返しというヒッグス場との相互作用の結果である。実際はヒッグス場との複合場である自由電子場を電子の素励起情報の波動は光速で伝搬しようとするが、多数のヒッグス粒子での弾性散乱によってみかけの伝搬速度が多数回の弾性散乱によって低下してみえるというふうにイメージすればよい。ここでも逐次の電子の素励起情報の波動の伝搬速度は実際は光速のままと考えるべきなのである。

 まとめれば、原則として、場を伝搬する量子の素励起情報の波動の伝搬速度は光速であるのが基本ということになる。これは、『存在は全てが光』にもつながる。本来は量子は全て光速で伝搬するはずであるが、各種場との相互作用によりその複合場での伝搬速度が低下してみえるのだ。

 追加で、下図のような受光素子の半導体内及び金属線内での電子の素励起情報の波動も光速で伝搬する点を忘れてはならない。半導体内や金属線内での電子を粒子としてとらえるならば、電子は多数の原子による散乱によってドリフト速度で移動し、極めて低速でしか移動できない。しかし、半導体内や金属線内の多数の電子は縮退しており、どの電子かという区別が出来ない。したがって、電子の素励起情報の波動が伝搬するだけで実質的に場から場に移動できるのだ。そして、電子場は慣性質量を介してヒッグス場と相互作用するだけでなく電荷を結合定数として電磁場とも相互作用している。したがって、厳密に考えるならば、半導体内や金属線内を伝搬するのは電子の素励起情報の波動に代えてクーロン力と関係するスカラー光子の素励起情報の波動であると考える方がもっと適切かもしれない。移動する電子の電荷と原子に束縛された電子の電荷との間での散乱となるからである。ここで、もうひとつ重要な視点は、光子の素励起情報の波動は原子に束縛された電子の束縛電子場では散乱されるが、原子に束縛されずに媒質全体に縮退して拡がった自由電子場では散乱されない点である。

受光素子の動作説明図

 以上のように、屈折率や質量と量子の素励起情報の波動の伝搬速度との関係が量子場光学を用いるといくらか明瞭となったと思うがどうだろうか。

 ところで、ここんところ、自仮説の量子場光学の話題を投稿することが多くなって、その分、量子光学や場の量子論、そして、その基礎となる電磁気学解析学の勉強が不足がちである。素人である以上、自仮説のブラッシュアップだけでなくおかしな点を適正化するには基礎の勉強が不可欠である。そして、かつて読んだ本を再度読み直すと時々勘違いや新たな気づきがあったりする。それはそれでなるほどと得心できるとスッキリする。今後とものんびりと気長に、でも着実に一歩ずつ『存在は全てが光』への道を歩んでいきたい。