量子場光学から見た霧箱の飛跡について

 今回は、自仮説の量子場光学を用いて、高エネルギーの電子が霧箱に突入した時に出来る飛跡について説明を試みる。

 霧箱には多数の水分子が水蒸気として密封されている。泡箱には多数の水素分子が極低温の液体(液体水素)として密封されている。どちらも宇宙線の検出に用いられ、宇宙線がそれらの箱に入射すると、その宇宙線の飛跡を見ることが出来る。泡箱は霧箱よりも高感度で宇宙線を検出することが出来る。

 以下では、霧箱を例にして、高エネルギーの電子が霧箱に入射した際の振る舞いを自仮説の量子場光学を用いた説明を試みる。

 まず、高エネルギーの電子が霧箱に突入し、過飽和水蒸気を含む空気の構成分子に電子の素励起情報の波動(電子波)が衝突すると電子波Aは空気の構成分子を構成する原子に束縛された電子を励起する。これは自由電子場と束縛電子場との相互作用として、束縛電子場の電子を励起する分のエネルギー E_e自由電子場から束縛電子場に移動したことを意味する。この移動したエネルギー E_e が空気の構成分子をイオン化しそこに水蒸気が凝結して霧を発生させる。次に、束縛電子場にエネルギー E_e を与えて減速した電子波Bは自由電子場を伝搬する。そして、同じように次の束縛電子場に伝搬し、エネルギー E_e自由電子場から次の束縛電子場に移動し、さらに自由電子場に伝搬して電子波Cとなる。この繰り返しによって、電子の運動エネルギーは次々に低下して減速していく。これは自由電子場の電子の素励起情報が次々に書き換えられることに相当する。その様子を図示すると次のようになる。

電子波の霧箱での伝搬のイメージ図

以上のように、電子の場合は、質量を有するので運動エネルギーの一部を束縛電子場で失っても減速することで次の自由電子場を電子波として伝搬することが出来る。

 一方、光子(1光子レベルの光波束)の場合は、質量が無いので光子波は自由光子場を光速で伝搬する必要があり、減速することが出来ない。従って、自由光子場は束縛電子場と相互作用を行うことが出来ず、その結果、エネルギーを束縛電子場に与えることが出来ず霧が発生しない。なお、光子のエネルギーが、すなわち、光子の素励起情報の角振動数 \omega が十分高くて、束縛電子場(空気の構成分子)の電子を励起してイオン化させてしまった場合は光子波は次の自由光子場に伝搬しないことになる。その際は1回だけ霧を発生させることになり、飛跡を作らない。

 以上から考えて、霧箱において、電子の飛跡は見えるが光子の飛跡は見えないことになる。霧箱についてはこんなふうに考えてみるのはどうだろうか。

 もちろん、光子のエネルギーが電子対生成を生じるほど大きい場合は電子対の飛跡が見えてくるかもしれない。本当のところはもっと光子のエネルギーを詳細に分けて考える必要があるだろう。レーリー散乱、(トムソン散乱)、ラマン散乱、そして、光電効果、(コンプトン散乱)、(電子対生成)と、自由光子場と束縛電子場(自由電子場)との相互作用は色々考えられるからだ。また、非弾性散乱の場合は光子波の速度を低下させる代わりに角振動数 \omega を低下させることが可能だからだ。量子光学の範囲では必要無さそうだが、「存在は全てが光」への道を目指すならば、いずれはもっと勉強する必要があるだろう。なかなか先は長いなあ。。。。