間隔 で1光子レベルの光波束を発生出来る光パルス発生器と遅延 を行うためのハーフミラーを用いた下図のような光学系を利用して、連続して発生した1つ目の光波束と2つ目の光波束とが干渉する様子を、量子場光学を用いて説明することを試みる。
ビームスプリッタを単に光子の素励起情報の波動の伝搬を2方向に分岐する素子として考える。また、光パルス発生器は、いわゆる単一光子光源でトリガ信号により発光可能で間隔 で1光子レベルの光波束を連続して発生させる。また、ビームスプリッタAとミラーAとの距離及びミラーBとビームスプリッタBとの距離は両方で遅延 が生じるように設定されている。したがって、ビームスプリッタに入射するのは1回目はビームスプリッタAで反射され経路1を通る1つ目の光波束だけであるが、2回目は経路2を通って遅延 が生じた1つ目の光波束とビームスプリッタAで反射され経路1を通る2つ目の光波束とが同時に異なる方向から入射する。
それでは、1回目の様子から説明したい。光パルス発生器の束縛電子場の励起電子から光学遷移により自由光子場に出射された1光子レベルの光波束は、1つ目の光波束として、ビームスプリッタAで経路1と経路2に分岐される。経路1を通る光波束はビームスプリッタBに到達して分岐され、検出器1及び検出器2の束縛電子場の電子にそれぞれ到達する。検出器1の電子及び検出器2の電子に到達した1光子レベルの光波束はそれぞれ光子の素励起情報の波動であり、同じ情報内容であって区別できない。その結果、検出器1の電子もしくは検出器2のいずれか一方の電子が確率的に選択されて励起されることで、検出器1もしくは検出器2の一方が光を検出することになる。エネルギー移動について説明すると、光パルス発生器から1光子レベルの光波束が出射される際に、光パルス発生器の束縛電子場から自由光子場に光学遷移に相当する のエネルギーが移動する。さらに、検出器1もしくは検出器2のいずれかが選択された際に、自由光子場から検出器の束縛電子場に のエネルギーが移動する。このようにエネルギー保存則は成立している。
次に、2回目の様子を説明する。パルス発生器の束縛電子場の励起電子から光学遷移により出射された1つ目の光波束のうちビームスプリッタAで分岐されて経路2を通る光波束は遅延 を受けてビームスプリッタBに入射する。一方、パルス発生器において1つ目の光波束の出射から間隔 をおいて束縛電子場の励起電子から光学遷移により出射された2つ目の光波束は、ビームスプリッタAで経路1と経路2に分岐される。経路1を通る2つ目の光波束は経路2を通ってきた1つ目の光波束と同時にビームスプリッタBにそれぞれの方向から入射する。2つ目の光波束と1つ目の光波束はいずれもビームスプリッタBで重畳して分岐され、検出器1及び検出器2の束縛電子場の電子にそれぞれ到達する。検出器1の電子及び検出器2の電子に到達した1光子レベルの光波束はそれぞれ光子の素励起情報の波動であり、重畳したとしても同じ情報内容であって区別できない。その結果、検出器1の電子もしくは検出器2のいずれか一方の電子が確率的に選択されて励起されることで、検出器1もしくは検出器2の一方が光を検出することになる。エネルギー移動について説明すると、光パルス発生器から2つ目の光波束として1光子レベルの光波束が出射される際に、光パルス発生器の束縛電子場から自由光子場に光学遷移に相当する のエネルギーが移動する。さらに、検出器1もしくは検出器2のいずれかが選択された際に、自由光子場から検出器の束縛電子場に のエネルギーが移動する。このように2回目においてもエネルギー保存則は成立している。
以上のように、量子場光学を用いて上図の光学系での様子をわかり易く説明することが出来た。
実は今回の光学系は、2022-07-17の「2つの光の波束の実験の解釈」という投稿と同じものである。しかし、当時はまだ考え方がまとまっておらず、今から見ると、例えば「残りの1つ分のエネルギーは検出器1及び2の中に散逸する。」等と、おかしな解釈となってしまっていた。しかし、少しずつ考え方がまとまってきて「量子場光学」を立ち上げることができた。まだ不十分な点が無いわけではないがさらなる進化をのんびりと図りたいと思う。。。とか言って本当に大丈夫だろうか。。。