量子もつれ光の解釈について3

 量子もつれ光を考える上で、パラメトリック下方変換のタイプⅡで正常光の光錐と異常光の光錐が登場するが、これらの光錐の像が円状である点と交点から光子が取り出される点との関係が量子光学の本を読む限りでは解り難いように感じていた。そこで、自仮説の量子場光学を用いて考えてみる。

 1光子レベルの光波束を用いたダブルスリット干渉で検出器でのスポットの集まりが干渉縞を形成する点とも整合させて考える必要がある。そこで、これらの光錐の像の位置に2次元検出器を置くとどのようになるなるかを考える。パラメトリック下方変換のタイプⅡで形成される光錐について、以下にスポットの集まりで形成された光錐の円状の像を模式的に示す。

正常光と異常光の光錐

正常光の光錐に着目すると、正常光の光子の素励起情報の波動である1光子レベルの光波束が2次元検出器に伝搬し到達すると、2次元検出器を構成する原子に束縛された電子(水色スポット)が確率的に選択された場合にその電子が励起され、1つのスポット(水色)が形成される。この1光子レベルの光波束が多数到達してスポット(青色スポットが追加)が円状に並んで形成されると正常光の光錐の像が得られる。異常光についても同様に、異常光の光子の素励起情報の波動である1光子レベルの光波束が2次元検出器に伝搬し到達すると、2次元検出器を構成する原子に束縛された電子(ピンク色スポット)が確率的に選択された場合にその電子が励起され、1つのスポット(ピンク色)が形成される。この1光子レベルの光波束が多数到達してスポット(赤色スポットが追加)が円状に並んで形成されると異常光の光錐の像が得られる。そして、正常光の光錐と異常光の光錐の交点1及び2には、正常光の光子の素励起情報に対応する1光子レベルの光波束と異常光の光子の素励起情報に対応する1光子レベルの光波束が同時に到達することになるので、正常光と異常光の両方の光子の素励起情報を含んだ素励起情報に基づいて検出器を構成する原子に束縛された交点1位置の電子(黄色のスポット)及び交点2位置の電子(緑色のスポット)が励起されることになる。もし、交点1及び2の2次元検出器にそれぞれピンホール1及び2を開口させておくと、正常光と異常光は同時(同時刻)に発生するので、ピンホール1及び2を同時(同時刻)に通過するそれぞれの光子は互いに量子もつれしていることになる。

 以上が、自仮説の量子場光学による量子もつれ光の生成に関する解釈である。

 なお、ダブルスリット干渉は1光子系であったのに対し、量子もつれ光は非線形光学結晶を用いた2光子系であることがわかるが、干渉縞も光錐も多数のスポットで形成される点は同様である。

 量子光学実験では多数の1光子レベルの光波束を用いた統計的な相関計測が行われる理由も以上で明らかになっている気がするがどうだろうか。私自身は気になっていた点だったのでスッキリした気分なのだが。。。ただの自己満足だろうか。。。。