再び量子光学の勉強

 私の過去の投稿で「マンデルディップ」という用語を何回か用いてきたが、使い方が間違っていたかもしれない。今更ながらだが、「Hong-Ou-Mandelの2光子干渉の実験」でのディップの方だけを略してマンデルディップと呼ぶことがあるようだ。一方、下図のような光学系で1光子レベルの光波束を出力する光パルス発生器を用いてハーフミラーで分岐すると検出器1と検出器2とが同時に光パルスを検出するのは同時からずれた場合で同時に検出することはないことから、ディップとして測定される。私はこれもマンデルディップと呼んでしまっていた。こちらは1977年に H.J.Kimble らによってアンチバンチングの初めての実証として論文が出された。その論文は、「H.J.Kimble, M.Dagenais, and L.Mandel: 'Photon antibunching in resonance fluorescence',Phys.Rev.Lett.39(1977)691 」というものである。それならキンブルディップとでも呼ぶ方が良いのかもしれない。ただ、私の過去の投稿はそのままで修正しないこととし、今後は表現をどうするか見直すこととしたい。言い訳がましいかもしれないが、キンブルは筆頭だがマンデルも連名となっているので、こちらもあながち間違いではないかも。。。(ええ加減な・・)。ちなみに、アンチバンチングは、光の粒子性の証拠という意見もあるようだ。

図1.同時検出系

 なお、自仮説の量子場光学では、光パルス発生器から出射されるのは正確には光子ではなく「1光子レベルの光波束」であるとしており、アンチバンチングは粒子性の証拠となるものではないという立場である。もっとも「粒子性」とは何を意味するのかという定義にも依存するのだが。。。

 「Hong-Ou-Mandelの2光子干渉の実験」でのディップは「マンデルディップ」と略して呼ばれることがあり、こちらの論文は「C.K.Hong, Z.Y.Ou, and L.Mandel: 'Measurement of subpicosecond time intervals between two photons by intererence',Phys.Rev.Lett.59(1987)2044」である。

 自仮説の量子場光学の方にひっぱられて、量子光学の本の読み方が怪しくなっていたようだ。再び新鮮な目で量子光学の勉強を再開したい。。。

 なお、余談として、古澤明先生はH.J.Kimbleの研究室に滞在して研究されたことがあるようで、H.J.KimbleはL.Mandelの研究室の出身であった。そして、L.Mandelはあの名著「光学の原理(Principles of Optics)」の著者の一人で物理光学分野の大御所であるE.Wolfと同じRochester大学での同僚であり親友関係にあったらしい。だからどうだという訳ではないのだが。。。