量子場光学と調和振動子近似の関係2

 かなり前になるが2023-06-04の投稿「量子場光学と調和振動子近似の関係」で次のように書いた。

『場の量子論を考慮した量子光学として「量子場光学」を打ち上げた。量子光学では電磁場の量子化として調和振動子近似を採用し、生成・消滅演算子を定義している。一方、場の量子論を考慮した「量子場光学」では、正準変数を A_\mu とし、その正準共役量を \pi_\mu として、正準交換関係を設定しようとする。そこには調和振動子近似の姿は無く、もちろん質量も登場しない。』

『生成・消滅演算子はゲージ場 A_\muフーリエ展開して運動量表示にする際に係数として定義される。この明白な共変量子化を量子光学において近似することで調和振動子近似が登場することになると考えると合点がいく。やはり、場の量子論を考慮した量子光学としての「量子場光学」の考え方が適切のように考える。』

 それでも量子光学で調和振動子近似が登場する意義はきっと有るはずだ。自仮説の量子場光学において、正世界(plus-verse)と負世界(minus-verse)とから構成された双子世界(twin verse)を提案した。光子の場図表現のPT図において、光子は正世界と負世界を一軸振動する2つの横波と原点のスカラー波とで表現した。これらを調和振動子近似と関係付けることは意味がある。自仮説の量子場光学の近似が量子光学となっていると考えられるのだ。

 そこで、光子について、双子世界での正世界と負世界との往復振動と調和振動子近似での定在波の波動とを対比させてみる。まずは、以下に実光子と仮想光子の場図表現のPT図を示す。

実光子のPT図
仮想光子のPT図

さらに、以下に実光子と仮想光子の場図表現のΩT図を示す。

実光子のΩT図
仮想光子のΩT図

次に、調和振動子近似での定在波の波動の説明図を以下に示す。

調和振動子近似の波動の説明図

調和振動子近似での定在波の波動の説明図を光子のPT図と比較すると、波動の説明図でn=1が実光子に対応しn=0が仮想光子に対応しているように見える。定在波の波動は赤線と青線とを繰り返して振動する。これは光子のPT図で正世界(生成)と負世界(消滅)とを繰り返して振動するのに対応しているように見える。エネルギーについてもn=0の真空状態は \pm \frac{1}{2} \hbar \omega であり、仮想光子のΩT図に対応する。さらにn=1の1光子状態は \pm \hbar \omega であり(真空エネルギーも加えれば \pm \frac{3}{2} \hbar \omega )、実光子のΩT図に対応する。

 以上のように考えると、質量の無い光子について調和振動子近似を用いることに以前は抵抗があったが、近似として考えれば受け入れても良いような気がだんだんしてきた。。。歴史的順番としては粒子の量子論調和振動子がまず扱われ場の量子論に応用されたのかもしれないが、本筋としてはあくまで場の量子論において場をフーリエ展開して運動量表示した際の係数が生成・消滅演算子を意味するという点であって、場の量子論の近似として粒子の量子論では調和振動子で近似できるという点を忘れてはいけないように思う。。。なんて。。。