エネルギーの局在性と横モードについて雑感4

 2024-02-21の投稿「エネルギーの局在性と横モードについて雑感3」の続きである。

 上記の投稿では、次のように書いた。

『こうなるとやはり気になるのは、質量の有る電子の横モードはどう考えたらよいかである。北陸地域アイソトープ研究会誌第5号2003年の東北大鈴木厚先生による「ニュートリノ素粒子,宇宙,地球を探る」という特別講演の解説記事に電子対生成の泡箱写真が載っていたので、下図に示す。

電子対生成の泡箱写真

光の飛跡は見えないが、電子と陽電子の飛跡ははっきりと見え、横モードの拡がり具合はかなり細い。ここでは、磁場が画面と垂直方向に印加されているが、横モードを絞るような電子光学系は無い。

 以上から考えると、少なくとも質量の有る電子や陽電子では、横モードの拡がりは電子光学系が無くても制限されているのだ。質量が横モードの拡がりを抑えるようなメカニズムがあるのだろうか。考えられるヒントとしては、やはり de \; Bloglie の物質波か Higgs 場との相互作用ぐらいしか思いつかない。』

さらに、次のように書いた。

『そこで、当面は光の横モードは基本的には無限に拡がるものとし、質量の有る電子はなんらかのメカニズムで横モードの拡がりが抑えられると仮定して、そのメカニズムの解明に注力したい。ただし、もし、光も含めてエネルギー自体が横モードの拡がりを抑えるメカニズムを思い立ったら、その時点で無節操に見直したい。。。光とは何かと「存在は全てが光」への道の両方に関わる問題なので気長にじっくりと考えてみたい。。。』

 そこで、少し考えてみたのだが、1電子レベルの電子波束の出射源が原子サイズであり、自由電子場と相互作用する泡箱中の水素原子が近接していると、1電子レベルの電子波束は同心円状に拡がる段階で泡箱中の水素原子場と相互作用することになる。ちょっとわかりにくい図になってしまったが、下図のようになる。

飛跡のイメージ図

すなわち、1電子レベルの電子波束は平面波としての伝搬ではなくて同心円状の連なりでの伝搬となるので、出射源が原子サイズだとすこしジグザグとするものの飛跡はかなり細いままとしかならないのだ。そして、電子の飛跡は細いまま少しジグザグすることになる。言うならば、ほとんど選択された水素原子の飛跡を見ていることになる。電子の横モードは平面波を前提とした表現であり、電子波束が同心円状で連なったものであると電子のみかけの横モードは制限されて細い飛跡となるのも理解できる。なお、場と場との相互作用で移動するのはエネルギーだけでなく運動量も同様であるので、極端なジグザクになることは無い。今考えているような系では系全体としてエネルギー保存則と運動量保存則とが成立している。なお、誤解を生まないように念のために説明すると、ここで「ジグザグ」という言葉を用いているが、これは Zitterbewegung とは全く関係ないことに注意が必要である。単に飛跡の形状を説明したに過ぎない。

 以上のように考えてみたが、どうだろうか。。。これならば、電子のダブルスリット干渉の場合は1電子レベルの電子波束が自由電子場を伝搬する距離が長いので平面波での伝搬として近似できるのでスリット間隔がある程度広くても干渉可能なのに対し、泡箱内での1電子レベルの電子波束は相互作用する例えば水素原子が近接しているため同心円状の波動の連なりでの伝搬となるので飛跡が細くなる。なお、出射源が泡箱の外にあり、ある程度の拡がりの横モードを持つ平面波で近似できる1電子レベルの電子波束が泡箱に入射した場合においても、泡箱内の最初の選択された水素原子が起点となって同心円状の連なりとなり細い飛跡を残すことになる。なんか、うまく説明できそうな気がするがどうだろうか。。。